子どもにしか聞こえない音2
サイエンスエッセイ3
前回、高い音を出してどこまで聞こえるか確かめる実験について書いた。年少者ほど高音まで聞こえる。実験での最高音は22000Hz。人間の可聴域と言われる20Hz~20000Hzの上限を超える。
毎年サイエンスショーを実施している我が町の市民文化会館大ホールの音響が、昨年デジタル化された。音響の様々な設定が数字で表現され、記憶され、一発で再現される。アマチュアバンドが次々に登場するような市民向けホールにはとても便利だ。リハーサルで、バンドごとに設定を記憶しておける。
会館の担当者が、デジタルの規格は16ビット44.1KHzだと。CDと同じだ。周波数帯域の上限は理論上22000Hzだが一般には20000Hzまでと言われている。
さて、では22000Hzを上限とする私たちの実験はできるのか。「アナログとちがってデジタルは規格を超えるとスパッと切ってくるから、出ないんじゃないかな」とは会館の担当者。「公称20000、理論的には22000、出るかどうか実験してみましょう」とは筆者。過大入力ではないから機器に心配はない。保護回路も働いている。
結果はどうだったか。
20000Hzを超えても手は挙がっていた。空耳と思われる割合を考慮しても十分な数だった。「出てるじゃん!」。スピーカーからは22000Hzの音が出ているように見受けられた。ただ、先年音響がまだアナログだったころに比べ、挙がる手の数はずっと少ないように思えた。
結論。22000Hzでも音は再生されている。ただし、聞こえ具合はアナログの時より悪い。厳密な実験ではないから、「こうらしい」「こうっぽい」ぐらいである。22000Hzで出る音がきれいな波形なのか、もはやノイズなのかもわからない。
ステージでMCをしながら、頭の中ではこんなことを考えている、という報告である。